ブリジット・リン(3)
ロサンゼスル滞在中に香港ニューウェーブの一人、パトリック・タム監督の『愛殺』(未)に主演。81年3月に台湾へ戻り、B級アクション映画などに主演したのち、徐克監督の誘いに従い『蜀山奇傳/天空の剣』で香港映画に出演し始める。徐克が監督やプロデュースなど何らかのかたちで関わった林青霞作品は『我愛夜来香』(未)『北京オペラブルース』、『蜘蛛に抱かれた女』(原題は『驚魂記』)、『スウォーズマン/女神伝説の章』、『スウォ―ズマン/女神復活の章』、『ドラゴン・イン/新龍門客棧』で、私生活面でも彼と彼の奥さんの施南生(シー・ナンサン)とは良い友だち。
76年には第二十二回アジア映画祭で『八百壮士』最優秀主演女優賞に輝いているが、キャリアが長くて人気も絶大だったのに賞には縁がなく、やっと90年、台湾映画時代に共演して恋愛関係にもなった秦漢と久しぶりに共演した『レッドダスト』で第二十七回金馬奨(台湾のアカデミー賞)の最優秀主演女優賞を受賞。それまでに、金馬奨には何度もノミネートはされていたものの受賞は初めてだった。
91年は林青霞にとって画期的な年だ。まず「第三回香港電影博」で初来日し、『スウォーズマン/女神伝説の章』に主演と発表。また、演劇界のリーダー、スタン・ライ監督が自作の舞台劇『暗戀桃花源』を再演及び映画化するにあたり林青霞に出演依頼がくる。二ヵ月のリハーサルのあと初の舞台に立ち、連日満員の好評を得る。翌年に製作された映画化にも同じ役で主演。
『スウォーズマン/女神伝説の章』が台湾で92年の2月(旧正月)に公開されるや爆発的な大ヒットとなり(香港では6月公開)、武侠片ブームが巻き起こる。林青霞は『ドラゴン・イン/新龍門客棧』、『鹿鼎記Ⅱ:神龍教』、『ハンサム・シブリング 絶代雙驕』、『スウォ―ズマン/女神復活の章』と次々に男装する役で武侠片に主演する。このブームは彼女が結婚する94年まで続き、『キラー・ウルフ/白髪魔女傳』、『白髪魔女2』、『大英雄』(原題『東成西就』)、『六指魔琴』(未)、『新天龍八部之天山童姥』(未)、『火霊傳奇』(未)、『刀剣笑』(未)、『楽園の瑕』(原題『東邪西毒』)が武侠片だ。これら以外に『黒豹天下』(未)、『追男仔』(未、)『恋する惑星』(原題『重慶森林』)という現代劇に出演している。これらの作品は全て男装するシーンがあるか男よりも強い役で、特に『刀剣笑』では男の役である。
94年6月29日、サンフランシスコのマイケル・イン宅で彼と約二億円かけた結婚式を挙げる。マイケルはESPRITの社長で離婚歴があり、6歳の女の子がいる。結婚式には高校時代からの親友二人、徐克夫妻、衣装・美術デザイナーの張叔平ら80人が出席。イン邸は5万本のうすオレンジ色の薔薇の花に加えて35万本の生花で飾られた。この結婚式はプライベートなものとして行われたため、式の数日前から取材合戦がエスカレート。
当日は空から取材しようと、香港・台湾のマスコミがチャーターしたヘリコプタ―が何機か上空を飛びかった。ハネムーンは南フランスへ。林青霞は現在8月の出産を控えて休業中(これも台湾の新聞から仕入れた情報で単なる噂かも知れない)・・・以上、私が調べた林青霞の大まかな経歴。香港で買ってきた本や知り合いからコピーさせて貰った本、アジアン・コミュニティーの本屋で見つけた古雑誌などを参考にしたものだ。私は中国語が話せないが、漢字から判読するのは時間がかかるけれども不可能ではないとわかった。
又、彼女の出演作品は今のところ100本でそのうちの50本まで見ることができた。台湾から来た人が経営するビデオ屋を捜し回った結果、ようやくここまで到達できた。あとは台湾へ行って捜すしか方法がないと思われる。いや、あと2本だけ増える可能性がある。それは日本で『アマゾネス・コマンド/美女脱獄囚:地獄のX作戦』と『セクシー・コマンド部隊/ピンク・フォース』というビデオが10年前くらいに日本で出ているそうで、それをどなたかがダビンクして送ってくれる・・・という望みにかけると叶う事だ。
<備考>ブリジット・リンのアメリカ名は私が想像するに『我愛夜来香』(未)から名付けられたのだと思う。この作品は『カサブランカ』をパロディにしたスパイ・コメディで、林青霞の役は艶虹(インモウ)という名のスパイ第一号。英語のサブタイトルでは「艶虹」ではなくて「Brigitte」になっていた。これがブリジット・リンの由来だろう。(普通の香港・台湾映画は漢字と英語のサブタイトルが付く。映画によっては漢字だけだったり全くないものもある)また、トニー・レオンとチョウ・ユンファが共演している『地下情』では、台湾から香港へきた売れないクラブ歌手二人が「新聞の占いによると、林青霞は今年結婚を逃すと40歳まで出来ないんですってよ」というような会話をするが、日本語のサブタイトルでは「林青霞」が「ブルック・シールズ」になっていた。このセリフは予言めいている。(95年夏 記)
言うまでもなく、親切なお方のおかげで『アマゾネス・コマンド/美女脱獄囚:地獄のX作戦』と『セクシー・コマンド部隊/ピンク・フォース』は手に入りました。ブリジットの英語名については、本の中で質問しています。
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